一般社団法人とは

皆様は「一般社団法人」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

弊所へ御相談に来られる殆どの方は「よく分からない」という回答です。

試しにグーグルやヤフーで

「福岡 一般社団法人」

と検索してみてください。

実に150万件近くのサイトがヒットします。

その一つ一つを見ていくと色んな法人があることが見て取れます。

これだけを見ても「活動の制限が無い」ということが間接的にでも御理解頂けるのではないかと思います。

一般社団法人を説明する時によく使われるのが

「人の集まりに法人格を与える」

という言葉です。

「人の集まり」というと何だか大人数の団体をイメージしがちですが、少人数でも設立することは可能です。

極端に言えば、二人だけの一般社団法人も存在します。

この時の二人とは

  • 設立時社員…2人
  • 理事…1人(設立時社員の一人が兼務)

という形です。

従って、少人数で活動しているケースでも一般社団法人を設立することは可能です。

ここではあくまでも説明を分かりやすくするために、人数が多い少ないに限らず二人以上で活動している団体(組織)を「社団」と呼びます。


経緯

これまでは「社団」を「法人化」するには主務官庁の許可が必要でした。

「社団」とは

  1. 団体としての組織を備えていること
  2. 多数決の原則が行われていること
  3. 構成員の変更に関わらず団体が存続すること
  4. その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等、団体として主要な点が確定していること

などが要件として挙げられます。

が、ここでは難しく考えないようにして一つ例を挙げます。

「人の集まり」を重視して考えると「同窓会」も立派な社団となりえます。

しかし、これまでは「○○学校の同窓会」という社団(人の集まり)を法人化するには主務官庁の許可が必要であった、という訳です。

実際はと言うと、主務官庁の許可はそう簡単に得れるものではなかったため、多くの社団(人の集まり)は「任意団体」として活動をせざるを得ませんでした。

この任意団体のことを「権利能力なき社団」と呼んだりもします。

「権利能力がない」ということは、社団(人の集まり/同窓会名)で権利を取得することが出来ない、という事になります。

例えば社団名義で

  • 契約をすること
  • 口座を作ること
  • 不動産を持つこと

等が出来ない訳です。

従って、社団として活動するには何をするにも代表者の個人名義で行う必要がありました。

小規模な活動であったり、団体の構成員が少なかったりする場合はそれでも何とか活動が出来ますが、規模が大きくなるとそうはいきません。

また、今の活動を永続させたいと思っても、単なる社団(任意団体)では中心人物が抜けると社団の存続そのものが危うい状況になってしまう可能性もあります。

任意団体の中にはとても意義のある活動を行っているケースがあるにも関わらず、法人として確固たる地位が認められないことが多くの弊害を生んできました。

そこで、こうした使い勝手の悪い旧公益法人制度を改めて、簡便な手続きで任意団体が法人化できるように制度が改正され、新しく作られたのが「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」です。

これにより、現在の一般社団法人が誕生した訳です。

これまでの許可主義を改め、定款の認証と登記をすることで人の集まりである社団に法人化の道を開きました。

必要な構成員(社員や理事など)を集め、定款を公証役場で認証し、法務局で設立の登記をすれば誰の許可を得ることなく設立することができるようになったのです。

NPO法人との設立要件(条件)の違いは「NPO法人との違い」に記載しております。

こちらも併せてご覧ください。

非営利法人とは

法人の種類には株式会社や合同会社など幾つかの種類があります。

その中で一般社団法人は非営利法人と位置付けられています。

簡単に記載すると、非営利法人とは

「活動において生じた剰余金を社員などに分配せず、翌年度以降の活動費にあてる法人」

を指します。

株式会社等のいわゆる「営利法人」は剰余金を株主等の出資者に分配することが可能です。

しかし、非営利法人は剰余金の分配が出来ません。

よく勘違いされることですが、一般社団法人は収益をあげてはいけない訳ではありません。

一般社団法人の種類」のページで触れているように、法人形態には幾つかの種類があります。

その中で非営利型に区分される「共益型」と呼ばれる法人は

「主たる事業として収益事業を行っていないこと」

が設立の条件になっていますが、この場合においても収益事業を全く行ってはならない訳ではありません。

他の普通法人型や非営利徹底型法人の場合はその全ての活動内容が収益事業であっても問題ありません。

例えば、介護事業や障がい福祉事業を行うケースを考えると分かりやすいでしょう。

これらの事業はサービスの対価として報酬を得る訳ですから、明らかに収益事業とみなされます。

もちろん、一般社団法人で上記事業を行うことは可能ですし、当事務所において設立から介護事業・障害福祉サービス事業の指定申請まで行ったケースは当然あります。

よって、一般社団法人も収益事業を行えますのでお間違いの無いようお気を付け下さい。

もう一つのよくある勘違いとしては、

「非営利だから給与などを得てはいけないのでは…」

という点ですがこれも間違いです。

そもそも、給与と言うのは「経費」ですから事業を行う上で必要なお金になります。

売り上げから給与を含む経費を差し引いて、最終的に残ったお金(剰余金)を翌年度以降の活動費に充てれば良いわけで、無報酬で事業を行う必要はありません。

活動内容によって選択が可能

先にも触れたように一般社団法人には幾つかの種類があります。

それぞれの特徴は「一般社団法人の種類」のページをご覧ください。

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