商業登記規則改正

平成27年2月3日より商業登記規則の一部改正され同2月27日に施行されます。

改正点は幾つかありますが、その中でも

  • 役員の登記を申請する際の添付書面

について大幅な改正が行われました。

これは株式会社等はもちろん、一般社団法人にも当てはまります。

役員の就任登記

これまで役員の就任登記を行う際、法務局へ提出する書類は

  • 登記申請書
  • 就任承諾書

の2点でした(代理申請の場合は委任状も)。

今回の改正により上記書類に加え

  • 本人確認証明書

が必要になりました。
(再任の場合は除く)

本人確認証明書の例として

  • 運転免許証コピー(表裏)
  • 住民票の写し(原本)
  • 戸籍の附票(原本)
  • 住基カードのコピー

などが挙げられます。コピーの書類を提出する場合は原本証明をする必要があります。

原本証明とは余白に「原本と相違ない」と記載し、署名押印をすることです。

ただし、法人の代表者となる人は法人印の届出の際に印鑑証明書の提出を要することから、上記したような他の書面は不要となります。

印鑑証明書に記載されている住所と住民票に記載されている住所は同じですから、改めて本人確認証明書を提出させる必要が無いという判断だと思われます。

代表者の辞任登記

代表者が辞任をする際に行う登記では

  • 登記申請書
  • 辞任届

上記2点が必要でした。

今回の改正により、

  • 辞任届に押印されているのが代表者個人の実印の場合は印鑑証明書(原本)

若しくは

  • 会社の実印が押印されている辞任届

のいずれかが必要になります。

改正の理由

役員の就任登記

役員の就任登記の際に本人確認証明書を添付させるのは、虚無人名義による登記を防止するためです。

虚無人名義とは本来は存在しない、実在しない人物で登記されることを防ぐためです。

また、実在する人物でも「勝手に役員にされていた」というケースが少なからずあるので、こういったケースを防ぐためにも今回の改正がなされたようです。

代表者の辞任登記

これは会社内が揉めているような状況で、他の役員が勝手に代表者を辞任させるようなことを防ぐための改正です。

要は代表権を有する者が辞任することにより、その本人に対する意思確認を担保するための改正という訳です。

終わりに

実は司法書士業界では今回の改正前から登記手続きにおける本人確認の徹底については既に取り組みを行っておりました。

今回の改正のように実際に本人確認証明書などを登記申請の際に添付するようなことは行ってはいませんでしたが、依頼者や役員に対する本人確認(面談や身分証明書の提示など)を実施しておりました。

虚無人名義による登記の問題についてなどは以前から取り上げられており、
登記事件を処理する法務局や申請をする司法書士はこうした問題をいかに未然に防ぐかの役割をこれまでも担っていました。

今回の改正により、手続きの中で上記したような書面の提出が義務付けられたことで本人確認がより徹底されることになったことは喜ばしいことではあります。

ただ、改正により手続きを行う当事者本人にとっては手間がかかる形(公的書類の取得など)となってしまいました。

当事務所では依頼者様の手間を少しでも省くよう最善の方法で業務に取り組むよう心がけております。

必要な書類などは最初の段階で丁寧にご説明申し上げますので御安心下さい。

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