任意団体からの移行
既に団体として活動しており、代表者や事務局など一般の法人と何ら変わらない運営をしている方々も多いと思います。
こうした任意団体と呼ばれる組織が一般社団法人に移行するケースを簡単に御紹介致します。
設立に向けて
まずは、設立に向けて「なぜ法人化するのか」という点を既存の会員や運営を共にしている人たちへ周知・理解の徹底を図る必要があります。
- 法人化することの意味
- 法人化する上での新たな負担や義務
など、設立するに至った「理由」を明確にしなければなりません。
考え方として、既存の団体を単に一般社団法人として運営していくだけの話ですから既存の会員に新たな負担などが生じなければ大きな問題になることは考えにくいとは言えます。
しかし、中にはこうした「変化」に敏感な方もいらっしゃると思いますので、法人化については「丁寧に」説明する必要があります。
せっかくこれまで上手く活動をしていた団体が法人化がきっかけでバラバラになってしまうようなリスクは絶対に避けるよう気を付けましょう。
既存団体の取扱いについて
一般社団法人を設立するにあたって既存の団体はどうなるのか?という点が当然のことながら疑問にあがってくると思います。
既存の団体については「解散」ということになりますが、法人ではないため解散手続きの順序が法律で定められている訳ではありません。
ただ、既に団体としてかなりの規模(会員数や資産等含)になっている場合は一般社団法人・財団法人法の206条以下に定められている清算手続きに則って既存団体の解散手続きを進めていくことが望ましいと言えます。
既存団体の活動内容にもよりますが、債権債務が発生している場合などは債権者に対して債務の精算をしなければなりませんし、債務者に対しては請求する必要もあります。
では、既存団体を解散(清算)した上で一般社団法人を設立する流れになるのかと言えばそんなことはありません。
一般社団法人の設立と既存団体の解散手続きは並行して行えば良いです。
更に言えば、任意団体の解散手続きを終了させるのは一般社団法人の設立後に行えば良いです。
つまり、一般社団法人と既存団体が一時だけ併存する形となり、既存団体の会員や資産を一般社団法人に引き継ぐ形を取ります。
そうして全ての作業を終えた後に既存団体は解散(消滅)する流れとなります。
既存団体の財産について
ここは注意を要する点になります。
新たに設立する一般社団法人が普通法人型か非営利法人型かで既存団体から移動させる財産の取扱いが大きく異なります。
普通法人型の場合
普通法人型の場合は全ての収入が課税対象となります。
つまり、既存団体から財産を移す場合はそのもの自体が一般社団法人の収益と見なされるため課税対象になります。
非営利型の場合
非営利法人型の場合、課税対象となるのは収益事業から生じた利益のみです。
会費や寄付などには課税されません。
つまり、新たに設立する一般社団法人が非営利型の場合は既存団体から移行させる財産について、寄付という扱いが可能なため非課税となります。
こうしたことから、既存の団体が財産を多く所有している場合や会費収入が多い場合などは非営利型を設立する必要性があると言えます。
普通法人型の場合は全ての収入に対して課税されるため、法人設立初年度に多くの課税がなされることにもなりかねません。
設立段階でこのことを十分にご検討いただく必要があります。
既存の会員について
任意団体に加入している会員(正会員・一般会員・賛助会員など)はそのまま一般社団法人の会員にスライドする形となります。
とは言え、これまでと運営団体(母体)が異なる訳ですから、新たに一般社団法人の会員となるための加入申込書などを用意するのが良いと言えます。
ただし、この場合は書面上に
「○月〇日までに返信が無い場合は、一般社団法人○○の会員に加入したものと見なす」
と言うような文言を入れておけば、既存会員に無用の手間をかける必要もなくなります。
つまり、これまでの活動を法人として行っていくこととなった案内と、それに加えて上記したような文言を入れておけば会員に対する周知と一般社団法人への加入手続きが一度で行える形になります。
こうなると、あくまでも新しく加入申込書を作成することは形式的な感じがしますが、それでも一般社団法人の会員であることを証明するためにも省略するべきではない作業とも言えます。
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